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同名の曲の歌詞を入れて書いています。タグで書いたもの…だったはず

 

俺が高らかにモンスターの名を叫べば、目の前の男は愉しげに笑い、その目に俺の姿を焼き付ける。
 臣下の様に寄り添う魔術師と雄々しい雄叫びをあげる白龍の下、俺とあいつは見つめ合い、お互いの心情を探ろうとする。
けれど、アイツの見ようとしている俺は、俺ではない。何か別の、違う魂を見つめている。
 俺には、それが誰かは分からない。が、アイツがそれを望んでいるならば、俺はその瞳を拒みはしない。
 俺の頭上でグルグルと喉を鳴らす青眼は、ただの偶像である筈なのに恐ろしく、そして酷く美しい。この龍を操る俺を見る度に、あの男は紫の目を輝かせ、一層力強い眼差しをこちらに向ける。
その姿を、俺は美しいと思う。愛おしいと、切ないと。
 「青眼、ブラック・マジシャンに攻撃だ」
その一声で、遊戯の目はぎらりと輝いた。
 激しい閃光と爆音を鳴らしながら、青眼の攻撃は奴のモンスターに通り、ライフを削る。
 「さあ、残りライフ500。どうするつもりだ?」
 煽る俺に、遊戯はにやりと笑う。
 「俺は、俺のカードを信じるぜ」
いつもどおりの綺麗事。それでも、奴ならやりかねないと理解していた。
 迷いのない、自身に溢れた顔で、遊戯はカードを引く。
その姿が、俺はどこか懐かしくて悲しいけれど、とても好きだった。
 遊戯には、遊戯の好きな俺がいる。本当の俺ではない、別の誰かだが、最も俺に近い者。
 決闘をしている時にだけ見せるその愛のある眼差しを感じたくて、俺はまた自分を忘れる。
 「お前が好きな俺」が、おれを殺していく。
 辛く歯痒いが、俺がおれを殺す度に、お前は嬉しそうに笑うから。
 「お前が好きな俺」を、今も上手に出来たおれを愛してはくれないか。
 上手にやり切るから、愛して。

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