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海馬くんに可愛さを求めた結果

 

息を大きく吐きながら、これからどうしたものかと頭を捻った。
海馬から「明日は一日休みだ」と連絡があり、相棒に無理を言って一日体を自由に使ってもいいと約束したのが昨晩のこと。(たまのデートを邪魔する訳にはいかないと、今は心の部屋で眠ってくれている。相棒には本当に感謝してもしきれない)
「海馬とデート」という言葉の響きに心を踊らせながら、アイツの自室の扉を叩いたのが30分前。そして、

 

「……スー…」

 

ベットの上でスヤスヤと幸せそうに眠っている海馬を見つけたのが少し前の話だ。
規則正しい寝息を立てながら眠る海馬の姿に、レアなものを見た気になる。たまにここに泊まったときには同じベットに寝ていても、いつもそれなりに「運動」をしたあとなので二人とも同時に寝てしまって、朝目が覚めれば海馬が先に身支度を全て済ましていてばかりだった。その度にいつも、奴の几帳面さに少しばかりガッカリしたものだ。…別に俺がズボラなだけではない、はずだ。

 

「…っん……?」

 

俺が悶々と悩んでいると海馬が小さく声を上げたのが聞こえ、起きたのかと顔を見ればうっすらと海馬の目が開かれ、未だに夢見心地だと言う風に蕩けた青い瞳がこちらを見ていた。

 

「…遊、戯…?」

 

数秒間見つめ合い、まだ眠いのなら寝させてやろうと考えたが、小さく開いた口からこれまた小さく名前を呼ばれ、起こした方がいいのだろうと考え直す。

 

「海馬、疲れているみたいだな」
「……ああ」

 

まだ頭が働いていないらしく、ぼんやりとしか返事を返さない寝惚けた海馬に思わずくすりと笑う。

 

「随分と、可愛らしい寝顔なんだな。初めて見たぜ、お前の寝顔」

「……そうか」

 

冗談のつもりでそう言ってやれば、海馬がゆっくりと体を起こしながらこちらを見上げてきた。もしかして寝顔を見られるのが嫌だったのかと思い、慌てて弁解しようと近づけば、突然海馬が俺の肩を押し後ろへと倒してきた。
あまりに突然だった為に俺が困惑して言葉を失っていると、海馬がのそりと俺の腰の辺りに所謂お姉さん座りで跨ってきた。

 

「か、海馬?どうしたんだ?」
「……は……のか」
「え、何だ?」
「普段の俺では…可愛く、ないのか」

 

思い詰めたように俺にそう問うてくる海馬に、俺はどうすればいいのかとますます混乱する。

 

「ま、待て海馬。言葉の趣旨が分からないぜ」

「…なら、こちらに聞いてやる」

 

そう言いながら手を後ろに回す海馬に、もしやと思いなんとか体を起こそうとするが、抵抗虚しく海馬に指先でするりと俺のモノをズボン越しに撫でられる。
海馬らしくない性急さにこれまた混乱しながらも、それを知らずに奴はゆるゆると股を撫でるのをやめない。緩やかな刺激にじわじわと下腹部に熱が溜まっていくのを感じる。

 

「海馬…っ?」

「黙っていろ、俺が全てする」

 

そう言うやいなや、俺のベルトを素早く外し、ジッパーを下げ下着からモノを取り出せば、顔を俺のモノに近づけこちらに下半身を向けてきた。その体制が、俗にいう「69」というやつだと分るまでにはそう時間はかからなかった。
いや、体位はこの際どうでもいい。それよりもこの状況に俺は頭がついていかないのだ。

 

「はっ…んぅ」

 

そんなことを考えている内に、海馬に緩やかに立ち上がっていたモノを舐められてしまう。体制のおかげで海馬が俺のを口で奉仕しているのが見えてしまい、視覚的にも快感が伝わりゾワリと鳥肌がたつ。

 

「んっ…はぁ、っ」

 

口内には入れずに、根元を片手で支えられながら茎の部分を外側から下から上にべろりと舐められ、さらにぐん、と欲望が膨らむ。

 

「っ…海馬…」
「ぁっ、!」

 

手持ち無沙汰になっていた両手で、頭上にある海馬の太腿や臀部を服越しにさすれば、ビクリと体が跳ね上がった。そのまま股の間の膨らみに手を伸ばせば、海馬の上半身がガクリと下に下がるのが分かった。ふにふにと陰囊を揉みながら臀部を撫で上げれば、俺のを奉仕する手が止まり「あっあっ」と細切れに喘いでいる。

 

「ふっ、どうしたんだ?全て、するんじゃなかったのか…?」

 

揉んでいた手をジッパーへと移動し下げてやると、灰色のボクサーの一部分が膨らみ、じわりと染みができていた。

 

「貴様…っこの、!あっ」

 

海馬の喋っている間にも下着の上からぐにぐにと弄ってやれば、言葉が喘ぎ声となって出てくるだけで、すっかりこちらのペースに呑まれているらしかった。

 

「そろそろ、訳を言ってもらうぜ」
「んっ…!なんの、はなしっだ…ッ」

 

話をはぐらかそうと知らぬ存ぜぬを貫く海馬につい意地悪をしたくなり、もう既に先走りでぐちゃぐちゃになってしまった下着の上から根元を強く握った。

 

「っは、くぅッ、痛…っ」
「俺はただ、どうして急にこんな積極的になったのかを聞いてるだけだぜ」

 

自分でも、随分と意地が悪いなと心の中で思いながら、どうにかして訳を聞こうとさらに海馬を追い立て、根元を握っていた手を先端にやり、じわじわと粘液を零しているであろう窪みに人差し指で爪を立てた。

 

「ひあっ!んン…っ、く…!」
「ほら…早く言わないとこれ、汚してしまうぜ」
「っく…!あぅッ、言う…っいう、から…!」

 

漸く観念したのか、海馬がやめてくれと自分の手を俺の手の上に重ねてくる。望み通りに手を離せば、ほっと海馬が一息つくのが聞こえた。
さすがにこの体勢では話しづらいと思い、海馬を促してベットの上に互いを見あいながら座る。第三者からすれば、かなり間抜けな絵面だっただろう。

 

「それで?理由はなんだったんだ?」
「………き、貴様が、寝顔がいいと…言ったから」

 

歯切れを悪くしてぼそぼそと喋る海馬にはて、と首を傾げた。

 

「確かに、可愛いとは言ったが…」
「……普段の俺では、可愛くないと言うことだろう」

 

海馬の言い分にもしかして、と思い半信半疑で聞いてみる。

 

「まさか、俺がお前の寝顔しか可愛いと思ってなくて、いつもの海馬では満足できていない、と思ったのか」

 

俺がたいそう動揺しながらそう聞いてみれば、海馬はこくりと頷いた。

 

「お前な…はぁ…」

 

「なっなんだ!俺はこれでも真剣に…!」

 

声を荒げて反論しようとする海馬に、俺から顔を近づけ開いていた口に舌をねじ込む。突然のことに硬直する海馬を腕の中に抱き込みながら舌を絡めれば、恐る恐るという風に海馬も舌を這わせてくる。暫くキスをしてから口を離せば、海馬にまた熱っぽい目が戻ってきていた。

 

「んっ…は、」
「はっ…、海馬」

 

俺が名前を呼び背中をゆっくりと撫でれば、んっと小さく喘ぎながらこちらをじっと見つめてくる。

 

「いいか、俺はお前を好きになったんだぜ。お前に可愛いと思うのは当たり前だし、ましてや普段見れない顔にドキドキしてしまうのは当然だ。だから、そんな心配はしないでもいいんだぜ。…でも、お前に不安を感じさせてしまったな…悪かった」

 

海馬に俺の想いを分かってもらいたくて、青い瞳を見つめながら目をそらさずに気持ちを伝えれば、海馬が急におろおろとし始める。

 

「なっ、な!?貴様…っっ」

 

口をパクパクとさせながら顔を真っ赤にする海馬に、胸の内側から暖かい気持ちがぶわりと広がる。やはりこいつは、俺の一番の好敵手であり誰よりも愛おしい恋人だ。

 

「まぁ自分から上に乗るお前も、中々卑猥で可愛らしいが…」
「っ?!」

 

俺が海馬をベットに押し倒せば、ぎしりとスプリングがなり、聞きなれた音にパブロフの犬のように反応し、心臓が高鳴る。

 

「俺はちょっと悲しいぜ、海馬。そんなにも薄情だと思われていたなんてな」
「っ……悪、かった…っ」

 

怒っているように俺が声を尖らせて少しキツめに言えば、目を伏せながら素直に海馬が謝った。その姿にぞくりと体を震わせながら快感が走る。にやりとしながら目で興奮を伝えれば、海馬もまた伏せた目でこちらを見つめる。

 

「ちょっとしたお仕置き、だぜ。海馬」

 

俺がにやけた顔を隠さずそう言えば、顔の赤い海馬が俺の目を見ながら、小さく頷いた。
 

 

「ひっ、ぅ…っん」

 

びくびくと動く目の前の白く滑らかな背中に、また一つ赤黒い印を付けていく。既に何度達したのか分からなくなるくらいには、海馬を長いこと抱き続けたのだと、この酷く卑猥な空間に犯されぼんやりとした頭で考える。
がくがくと震える脚を抱え直し、またゆっくりと抜き差しを再開すれば、ペニスでいっぱいになった中がまるで搾り取るように蠢いたのを感じ、海馬がまたイったのだと分かる。

 

「あっあっ、あ…っん…ゆうぎぃ…っ」

 

海馬の快楽に溺れきった声を聞きながら、深く中に差し込んでやれば、さらに甲高い喘ぎ声をあげた。
「うぁ、んンっ…あっ…も、やめっひ、あぁッ」
後ろから回した手で胸を探り、固く熟した飾りをギュッと力を入れて抓めば、ぎゅうっと中のモノを締め付けてくる。そのままぐりぐりと押し潰したりして弄れば、理性を保つことに必死だった海馬が自ら腰を揺らし始める。目の前で揺れる薄茶色の髪にキスをしながら、胸から手を離し腰を動かすことに専念する。

 

「ぁン、っああ!あっゆうぎぃっ、ぁあ!」
「っく…、海馬…ッ」

 

一際甘い声を上げた海馬がまた絶頂したのだと悟り、俺も一拍遅れて中へと欲望を吐き出した。

ふと目が覚めると、隣には素肌を合わせて眠る海馬の姿があり、カーテンの隙間からこぼれる朝日にその寝顔がきらきらと照らされていた。
こうして二人で眠っているということは、昨日はほぼ一日中抱き合っていたのかと今更気づき、思わず苦笑する。

 

「…ん……」

 

うっとりと幸せを噛み締めながら、小さく寝息を立てて未だ夢の中にいる海馬を起こさぬように前髪越しに額にひとつキスを落とせば、くすりと海馬が幸せそうに笑った。

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