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カニバリズム描写があります、お気をつけください。
「なあ、逃げたいか?」
灯りのない薄暗い部屋で、赤い目をした不思議な獣が、息の上がった声を出しながら、俺の上で今か今かと涎を垂らしていた。
床に押し付けられた体は、すでに動くという機能を忘れてしまっている。爪を立てられた左の手首が、ジクジクとした感覚を発していた。
「このままじゃお前、死んじゃうぜ」
誰のせいだと思いながら、ゆっくりと口を開いて赤く熟れた舌を、喰らえばいいと差し出した。
目いっぱい広げた俺の口を見つめながら、遊戯がゴクリと唾を飲み込む。細い首に浮き出た喉仏が上下する様をぼんやりと眺めていれば、目の前にギラついた赤目が迫ってきた。
ぷちん、ぶち、ブチン。
(意外と、すぐに切れるものなのだな)
ゴポリと、鉄臭い液体が口の中に流れ込んでくる。ジリジリとした感覚と息苦しさに思わず咳き込めば、遊戯がくちゃくちゃと音を立てながら食べていたそれを飲み込み、俺の口に噛み付いてきた。
ジュウ、と口内に溜まっていたものを吸い上げながら、ゴクゴクと喉を鳴らす。
「ぷは…、ん……あむ」
「グ、ゥ……あ、」
ブツン。
今度は唇に、噛み付かれるような…いや、噛み付かれてキスをされた。
クチャりと音を立てて咀嚼する遊戯に、汚いなと思いながらくすりと笑えば、目の前の赤い目と唇がうっすらと弧を描いた。
「海馬、 あいしてるぜ」
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