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「あのね、海馬くん。僕は君のものにはなれないんだよ」

ふわりと笑って俺の手を握り、遊戯はただ優しい声で、そう告げた。

「なぜだ。俺はお前をあいしているのに」
「だって、僕は君を愛してはいけないもの」

慈愛に満ちた美しい笑顔で、残酷で哀しいことを言う遊戯は、それでも俺には、きれいでいとおしい男に変わりなかった。

「なら、どうすればいい。俺はお前にあいされたい」
「……駄目だよ。僕は君を愛せない」

少し哀しそうな顔をして、遊戯が小さく首を振った。
なぜ、哀しんでいるのだろうか。俺は、お前に哀しいと思っては欲しくないのに。

「かなしまないでくれ。遊戯、おれはお前の笑顔がすきなんだ」
「僕は、哀しむしかないんだよ」
「なぜかなしむんだ?おれが、ワガママを言うからか?」

遊戯が目を伏せて、また小さく首を振った。

「海馬くんは、悪くないのさ。悪いのは、君に愛されてしまった僕なんだ」

そう言う遊戯の紫色の瞳には、きらきらとひかる涙があった。

「僕は、君を愛したくても、愛しちゃいけないんだ」

にこりと笑っていた遊戯が、涙をぽろぽろと流して、おれの手をギュッとにぎった。
おれはただ、かなしみ、涙を流す遊戯をおろおろと見つめることしか、出来なかった。

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