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お題診断の結果がこんな感じの話だったので。詳細は忘れました

 

ジワジワと蝉が鳴き、太陽がぎらぎらと輝く夏の青空の下で、遊戯と俺はぽつんと道の上に佇んでいた。

 

「城之内くんから聞いたんだ。この辺りにいい避暑地があるって」

 

そう言いながら手にした地図と睨み合っている遊戯。完全に道に迷っているそのざまに、ハアと溜息が出る。

 

「わざわざ人を連れ回した挙句に路頭に迷わせるとは、いいご身分だな」

 

俺が不快さを隠さずにボヤけば、遊戯が眉を寄せて申し訳なさそうな顔をする。

 

「本当は、お前が喜ぶだろうと思ってここまで来たんだぜ。けど、これじゃあな…」

 

普段の威勢の良さはどこに行ったのやら、俯いて悄気返る遊戯にまたひとつ息を吐く。

 

「後悔してる暇があるなら、頭と足を動かせ。貴様まで凡骨風情になり果てるつもりか」

 

苛々としながらきつく言うと、ムッとした顔で奴がこちらを見たが、迷惑を掛けていると自覚があるらしく、何も言わずに地図を見ながら前へと進み出した。常ならばここで皮肉のひとつでも飛ばす癖に、なんだか調子が狂う。

 

「…とんだ休日になったものだ」

 

額に滲んだ汗を拭いながらぽつりと呟き、遊戯の後に続き歩き始める。

 

 

「っ…」

 

暑さにやられたのか、急に体がふらりと揺らめいた。気分の悪さに思わず立ち止まれば、遊戯との差はどんどんと広がっていく。

 

(また、行ってしまう)

 

ぼんやりとした頭の中に、そんな思いがふと浮かぶ。何故だか遊戯と距離が離れる度に、胸の内がきりりと痛んだ。

 

(また、置いていかれる)

 

ゆらゆら揺れる視界の中に、遊戯の後ろ姿と見慣れない人影が移り込む。その人影は、にこりと笑ったあとにゆっくりと消えていった。

 

(消えないでくれ)

 

それが誰かも分からないのに、俺は必死にその影を掴もうとする。その間にも、先へ先へと消えていく遊戯の背中が、無性に朧気に見えて、どこかに居なくなってしまいそうで、でも、俺にはそれを追いかけることが出来ないと心のどこかで分かっていた。
それでも、行かないでくれ、という想いは膨らんでゆく。

行かないでくれ、もうどこにも。俺と共に、ずっとそばにいてくれ。

「おいていかないでくれ」

蝉の鳴き声にかき消されそうなほど、小さなか細い声だった。それでも奴の、遊戯の耳には届いていた。

 

「海馬!」

 

数メートル先の場所で振り向き、焦った顔で遊戯が俺の名を呼ぶ。

 

「海馬…っ」

 

早足で近づき、慌てた声で何かを言いかけた遊戯の口を、俺ので塞いでやる。出掛けていた言葉は、二人の口付けの中に消えていった。

 

「っな」
「本気にするな、馬鹿者」

 

驚いた顔をしている遊戯に、そう言ってふわりと笑ってやる。

 

「お前の間抜け面が見たかったのだ」

 

そう言って青い空の下で強がる俺は、きっと酷い顔をして笑っていただろう。今にも涙が溢れそうな目をギュッと瞑る。
頼む、騙されてくれと心の中で願う。
お前と離れることを、こんなにも恐ろしいと思った弱い俺を、どうか見つけないでくれ。

 

(見つかってしまえば、先へと進めなくなってしまうから)

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