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「海馬ボーイはガールフレンドが居たことがないのデスカ?」

世間話をするかのように言われたその言葉に、俺はこめかみがピクリと動いたのを感じた。

「…貴様、なにが言いたい」

キーボードを打っていた手を止め、人の部屋に勝手に上がり込み呑気に紅茶を啜っていたペガサスをジロりと睨む。

「おや、図星でしたか?」

そう言ってニコリと笑うやつに少々の殺意を覚えながら、あくまで冷静に口を開く。

「過去に何人かは居た。まさか俺の知らぬところで、そんなホラを吹いたのでは無かろうな」
「いえいえ、今初めて話したのデスヨ。そう怒らないでくだサーイ」

いつものように巫山戯たオーバーアクションをしながら笑うペガサスに、イライラとしながらまた目の前のデスクトップに目を移す。
いつもながら思うのだが、何故俺はあいつをこうして部屋に入れて茶まで出しながら神経を逆撫でされているのだろうか。自分のことながら理解に苦しむ。

「デスが毎回、一度はキスをさせてくれますヨネ」

突如横から聞こえた奴の声に振り向けば、一瞬の内に目の前が奴の白銀の髪で埋め尽くされ、唇にふわりと柔らかい感触を感じた。その感触がペガサスの唇だと気付いたときには、奴は既に俺から離れ頭上でクスクスと笑っていた。

「それは、貴方の不注意からなのデスカ?それとも、私だから、なのデショウか?」

紳士然として笑いながら俺に問いかけるペガサスに、カッと頬に血が昇るのが分かる。

「調子乗るなペガサス!それに貴様、またおかしなものを使って心を…!」

奴に踊らされている自分を認めたくなくて、一気に早口でそう捲し立てれば、おや、とペガサスが意外そうに呟いた。

「私はただ、事実を言ったまでデース。もしかして、コチラの方が図星なのデスか?」
「なっ!き、貴様…!」

ああ!こいつと喋ると調子が狂う!それに反論できぬ俺が一番腹が立つ!
今の俺は、怒りと羞恥で顔を赤くしているだろう。なんだか、耳の辺りまでもが熱い。

「フフフ、ウブな海馬ボーイは、かわいらしくて大好きデスヨ」

完全に俺を子供扱いをしているペガサスに腹が立って、仕返しとばかりに頬にキスをしてやった

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