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赤馬社長がとばっちり食う話(ユト隼?)

「ころして、やる」 掠れた声でそう呟いた彼は、金の瞳をギラつかせて私を見ていた。 「お前を、俺が必ず。殺してやる」 酷い声だ。地を這う様な、とはまさにこの事かと思う。見開かれた目から伝わる殺意の強さに、思わずフンと鼻で笑ってしまう。 「お前の妹を、助けられなくなるぞ」 「瑠璃は俺が助け出す。貴様に指図なぞされん」 「それはただの妄言だろう。実現できるとでも?」 「貴様を殺して、瑠璃を取り戻し、そして、そしてユートを」 ガツン、と鈍い音がしたと思えば、黒咲は地に伏せていて、彼の後ろには「何か」がぼんやりと立っていた。 「お前なんかに、お前の為になんて、」 黒い影はブツブツと何かを言いながら、気絶した黒咲を胸に抱き締めた。 「隼、すまない。俺は、大丈夫だから。隼」 人の姿をしていない「それ」は、慈しむように黒咲の頬に触れた。 目の前で繰り広げられる三文芝居にため息を吐きながら、私はオカルトな夢の中から抜け出した。


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